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zoom RSS 本の感想:牛山佳幸『【小さき社(やしろ)】の列島史』

<<   作成日時 : 2010/11/07 18:43   >>

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見沼や氷川女体神社、大宮の氷川神社をネットで調べているときにこの方の論文を
見つけて、興味を持ちました。
それで地元の図書館の蔵書を検索して見つけたのがこの本です。

内容はタイトルどおりの小さな神社、マイナーだけどちょっと変わった名称の神社に
ついて調査・論考したことをまとめた本です。
とりあげているのは印鑰(いんやく)社・ソウドウ社・女体社・ウナネ社の四つ。
かつてまたは現在その名称である神社をまとめて検証・考察することで
浮かび上がってくる共通点を通して、本来の神格や歴史などを探っています。
なじみのない神社ですので、それぞれを、つたないながらも簡単に紹介いたします。

印鑰(いんやく)社は、国府の国衙施設の近くで、国司のはんこ(印)とそれを納める
倉庫の鍵(鑰)をまつった神社といわれているそうです。
ですがこの本では、国司が交代するときのはんこの受け渡しの儀式が儀礼化して
神事として扱われ、そこから印鑰の神が派生したとみなされると書かれています。
さらに国衙と無関係な場所で、二次的に信仰された印鑰社があるとしています。

ソウドウ社については、主に山陽地方にこの音をもつ神社が多くあるそうです。
それを踏まえて、従来まとめて扱われることのなかった一連のソウドウ社を
早良親王(崇道天皇)を祀るための供物を納める倉が元になっているのでは
ないかと考察しています。
ちなみに早良親王は桓武天皇の弟で、藤原種継暗殺に連座して廃太子され
亡くなりましたが、その死後祟りが相次いだということで崇道(すどう)天皇と
贈り名され祀られるようになった人です。

女体社については、この名のつく神社が関東に多くあることを踏まえ、
なぜ関東にこの名前の神社が広まったかを論じています。

ウナネ社については、従来用水の神と思われていたが、洪水避けの神であると
いうことを、その神社がある地形に注目して考察しています。

それぞれの考察についてすごく興味深いと思いました。そういう神社があること自体
ほとんど知らなかったので、読んでいてとても面白かったです。

やはり私が特に気になったのは、女体社についてです。この論について感想を書く前に
まずはこの本での結論について概略を書きます。
この本では関東の女体社を三つのグループにわけ、旧利根川水系周辺、見沼周辺、
多摩川近辺でまとめています。この本では、元は見沼で船霊の女神を祀っていたのが、
戦国時代後期の後北条氏の関東支配下で水運が盛んになった結果、女神である船霊を
各地で祀るようになったと結論づけています。しかし旧利根川水系では、
徳川氏の利根川東遷により水運から離れて筑波山信仰と結びついたともあります。
それで感想なんですが、女体社が関東に広まった要因は、まあ納得できますが、
見沼の女体社については違うような気がします。特に元になった三室の氷川女体神社は、
船霊じゃなくて見沼そのものではないでしょうか。根拠があるわけでなく、単なる勘ですけど。
たしか、どこかのサイトの人がこの本を読んで、似たようなことを言ってましたね。

さらに氷川神社に関して、ウナネ社の考察でも取り上げられてました。
東京・喜多見の氷川神社がかつてウナネ社だったという話で、氷川神社が勧請されたのは
十四世紀後半からで、特に戦国後期から江戸時代初頭に流行したとありました。
また、氷川神社の勧請の年が史料で確認できる最初の例と言われていた神社が、
前に住んでいた家の近くの氷川神社だというのを知って驚きました。
今は池に亀がのんびりしている、ちっさい神社ですけどね。
結構歴史的に意味がある神社だったんですね。

神社に興味がある方は、大きなメジャーどころの神社だけでなくて、
こういう小さいけれど風変わりな神社にも目を向けてみたらどうでしょうか。
名前の裏に隠された歴史が見えてくるかもしれません。

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